その5【スケルトンスロットアンテナ】 Kくんの 自作アンテナ日記 【スケルトンスロットアンテナ】 資料は、「平成8年11月3日JARL愛知県支部主催のペディション運用 430MHz8エレ・スケルトンスロット製作習会資料」他です。 はじめに、JARL東海ハム教室においてこのアンテナの製作指導をして いただいた常滑市の柴田昌光さん(JA2DEX)には、この場をお借りし て厚く御礼申し上げます。 その5・・・まずスケルトンスロットアンテナとは? これは、金属板に細長い溝(スロット)を切り込んだ形が原形で1960年 頃イギリスのG2HCG局(シャクイス氏)が、実験的に金属板のスロット を次第に大きくして行き、最後に金属パイプ(骸骨=スケルトン)だけにな ってもスロットアンテナとして機能することが分かってできたものだと言わ れています。そしてこのスケルトンスロットアンテナの製作で注意する所は エレメントの外径ではなくて、内径だということです。 また、エレメントの内側に金属物を配置すると輻射性能に影響すると言われ ています。 今回紹介するアンテナは、垂直偏波でありモービルホイップなどとの相性も よく、データー的には12エレ×2スタック八木型アンテナと同等の使用感 があるそうです。・・・小生、まだ作ったままでフィールドでTESTして いないので、今度是非一度やってみたいと思っています。 それではまず、材料から集めてみましょう! 【スケルトンスロットアンテナの作り方】 (1)材料 @アンテナに相当する部品は、3.2φの銅線 131cm 8本 また、接続用に2φの銅線 25cm 1本 (友人との後日の製作では、電機屋さんから譲ってもらいました) A塩ビパイプ 水道用 VP13 60cm 2本 (1本はマスト用) 同 VP13 72cm 1本 塩ビT型(チーズ) VP13用 1個 Bアクリル棒 10φ 19cm 1個 Cガラスエポキシ基板 マッティング用 1個 D同軸コネクター (M−J) 1個 Eスズメッキ線 (エレメントの固定用) 40cm FトリマーC(コンデンサ) 10PF 1個 これは、送信耐入力を10Wとした場合なので、高耐電圧のバリコンに置 き換えれば、50Wでも可能です。(容量は、10PFのままでOK) (2)製作 @まず銅線でエレメントを作ります。寸法(内法)は下記のとおり。 (単位:mm) エレメント @ A B C D E ストッパーの位置 Re 188 185 336 185 168 205 83 Ra 100 168 336 168 256 ---- ---- D1 188 158 336 158 168 178 70 D2 188 145 336 145 168 165 63 D3 188 145 336 145 168 165 63 D4 188 140 336 140 168 160 61 D5 188 138 336 138 168 158 60 D6 188 138 336 138 168 158 60 あらかじめ、これらの長さの物差しを用意しておくと便利です。 (銅線をあてがうだけですみます) @ B |-------------- D |---------------------| | ---------------| A| Ra輻射器 |4 | E| |C | | 2| | | | -----------------| |---------------------------| ------- 5 B | @ 反射器(Re) | 導波器(D1〜D6) 注意:折り曲げ加工すると余分に銅線が必要となるので、加工してから 余分をカットすることです。重なったところは、スズメッキ線で 結んでハンダ付けしますが、上下に重ねないで横に重ねて下さい。 また、エレメントは、一筆書きのように作り、角は直角にします。 Aブーム長は、以下の通りです。(↓は、穴の位置) Re Ra D1 D2←-− 200 -−→ D3 D4 D5 D6 | 50↓ 130↓ 170↓ 185↓ ↓200 ↓ 185 ↓ 185 ↓50| ========================== ====== ============================= ========================== ====== ============================= 3.2φ 10φ 3.2φ 3.2φ || 3.2φ 3.2φ 3.2φ 3.2φ ←−−−−−600−−−−−→ || ←−----−−−720−−--−−−→ 塩ビパイプとTパイプ(ジョイント用)使用 Bラジエター用絶縁支持棒の製作(10φ透明アクリル丸棒) 12mm 12mm |←−−−−−166mm --−−−−−-−→| =||==================||= アクリル棒に2.2mmの =||==================||= 穴を端から12mmの所に 2.2φの穴 2.2φの穴 あける。 ←−−--−−−−190mm−-−−−−−−−−→ Cラジエーターの製作とガンママッティング 同軸コネクタとトリマーコンデンサーをガラスエポキシ基板に穴をあけて とりつけてから直列になるようにハンダ付けします。 (ガンママッティング) M−Jコネクタのオスのでている部分に銅線(2φ)をハンダ付けし、 アクリル棒の穴に通してラジエーターに巻き付けハンダ付けする。 他方は、トリマーCからアクリル棒の穴にとおしてRaに巻き付けハンダ 付けする。これでラジエーターが完成です。また、この段階でSWRを測 りトリマーでマッティングをとります。 Dその他のエレメントは、反射器、D1〜D6までブームにさし込み、1 エレメントずつハンダ付けします。また、ブームに逆三角形になるように 穴をあけ、エレメントのさし込み部分のストッパー(ハンダで盛上げる) がそこで止まって下にずり落ちないようにします。 Eその他ブームを枠にする重なり部分は、20mmです。 それぞれスズメッキ線で仮り止めして、ハンダ付けする。 F調整は、電界強度計、SWR計などで測定しながら最良の状態になるよ うにトリマーで調整する。 G移動用のため、普段は半分にして折り畳んでしまっておけるので、場所 をとらない事がFBです。また、ビームの性能も上々です。 以上でスケルトンスロットアンテナの製作は終了です。 材料は、比較的安価なものばかりですが、エレメントの特にラジエーター の製作が一番重要です。トリマーに防水対策としてエポキシ系接着剤など で覆うことや銅線の酸化防止にスプレーするなどすれば長持ちします。 ここでちょっと一服・・・・・・ 今回は、塩ビチーズで2本のブームをつなぎ支えるという仕組みでしたが それをラジエーター部分のみ(つまり半分)にしてもSWRは1.5以下 に収まり、これをマストに取り付けてローテーターで振れば、八木アンテ ナ同様の効果が期待できそうです。次回は、これを作る予定です。 このスケルトンスロットアンテナ、430MHzの八木アンテナの代わり にいかがでしょうか? 私は、本格的なスケルトンスロットアンテナを作ったのは、今回のJARL の企画が始めてでした。それでも1回でSWRが1.5以下に収まったとき は感激しました。 これを機会に144MHz、50MHz用のスケルトンスロットアンテナに も挑戦したいと考えています。それらの製作資料をお持ちの方は是非ご一報 下さい。また、みなさんも一度一緒に作ってみませんか? 参考資料探しには、CQ誌の1996年9月号に付録でついている、創刊 50周年記念付録CD(CQ誌の総目次データーの検索CD)が有効です。 さて、次回はバードケージアンテナ及びおにぎりハンドマイクの製作につい て報告する予定です。前者は、缶テナのバリエーション。 後者は、友人の永田さん(JR2NET)の製作品をお借りして物まねした ものです。
その1 電界強度計 その2缶テナ(430Mhz) その3 AWXアンテナ
その4 ダミーロード その5 スケルトンスロットアンテナ(430Mhz)
その6 バードゲージアンテナ その7 おにぎりマイク
その8 ローテータコントローラ
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